交通事故で当事者間の示談交渉が不成立に終わってしまった場合の解決方法のひとつとして「調停」というものがあります。今回は交通事故を調停によって解決する方法について解説します。
調停とは
調停は当事者とは関係のない第3者である調停委員と裁判官が立ち合いの上で、当事者間の紛争を解決する手続きのこと
を言います。
調停によって当事者双方の合意があれば、調停調書が作成されます。
示談書と同じように調停調書には
- 申し立ての内容
- 原因
- 合意事項(賠償額や支払期限、支払い方法など)
が記載される形になります。
この調停調書には判決と同じ効力を持ち、一方が調停調書の事項を守らなければ、裁判所への強制執行の申し立てが可能になります。
ただし、調停調書は当事者双方の合意に基づいて、作成されるため、合意しなければ強制力はないのです。
調停を利用するメリット
- 手続きが裁判での訴訟よりは簡単
- 訴訟と比較して早く解決できる
- 訴訟と比較して費用が安く解決できる
- 非公開で手続きが可能
- 弁護士以外の代理人も立てられる
- 示談と比較して第三者が進行してくれるため、冷静な判断ができる
- 調停調書は判決と同じ効力を持つ
調停を利用するデメリット
- 合意に至らない可能性もある
いくら第三者が裁判官と進行してくれるとはいえ、調停は「当事者双方の合意」を導くためのものです。
つまり、お互いに妥協をしながら、合意できるラインを探るような進行になるのです。プロセスは示談と変わりません。
そのため、お互いの要求があまりにも乖離している場合などは、いくら裁判官と調停委員が間に入っても、合意できないケースが起こりうるのです。
調停は
- 第三者と裁判所という「場」が用意されているため、示談交渉よりも合意に近づける可能性が高い
- 訴訟ではないのでコストが安く、早期解決も可能
というメリットがある一方で
- プロセスは示談交渉と変わらないため、お互いの妥協点を見いだせなければ示談と同じように不成立になる可能性もある
手続きということができます。
調停を利用すべきケース
調停を利用して解決できる可能性が高いのは
- 被害者と加害者の当事者が感情的になってしまって示談が成立しなかったケース
- 損賠の規模が小さく弁護士費用の負担が割に合わないケース
- 加害者の代理人が保険会社の専門担当者のケース
- 交渉ベタで被害者の主張が通らないケース
などです。
示談交渉相手が保険会社のプロだったりする場合には、どうしても交渉が相手のペースで進められてしまい、どうにも納得できないという感情を被害者が抱いている場合などは、調停で解決できる可能性が高いのです。
また、当事者間でも感情的に「あいつとは話したくない。」「何を言っても、それは無理って答えてくる。」など冷静な交渉ができない場合などは調停がおすすめです。
まとめ
調停は、示談交渉の延長戦で「裁判官」や「調停委員」などの第三者が進行してくれる手続きと考えると分かりやすいかと思います。
訴訟をすると「解決まで時間がかかってしまうこと」「弁護士費用が発生すること」があるため、そこに行くまでに解決したい方におすすめです。