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交通事故における物損事故の積極損害はどのようになるのでしょうか?今回は物損事故の積極損害の損害賠償算定について解説します。
物損事故の積極損害とは
積極損害の定義はすべての事故で同じです
物損事故によって被害者が支払わなければならなくなった費用のこと
を意味します。
物損事故の積極損害
修理費
物損事故で修理が可能な損害を被った場合には、修理工場の見積もりや請求書をエビデンス(証拠)として、修理費の実費が積極損害として認められます。
ただし、修理費が中古市場における評価額(時価額)を超えてしまった場合には、全損扱いとなり、買い替え相当額が積極損害になります。
部品交換比、作業工賃などは全額認められるが、塗装費用は事故で破損した部分のみの費用しか認められません。
評価損(格落ち損)
事故によって中古車市場か悪による売却額や下取り価格が下がってしまった分の損害のことです。評価損は保険会社は全額認めないケースが多いようです。判例では全額の評価損が認められるケースもあります。
評価損の算定方法
減価方式
事故前の市場価格 - 事故後・修理後の査定価格
事故前の下取り価格 - 事故後・修理後の下取り価格
時価基準方式
事故時の価格の何割かを損害とする
修理費基準方式
修理費の15%~30%を損害とする
裁判で評価損が認められる要件
- 修理しても原状回復できない欠陥が残った
- 自家用車である
- 購入して間もない車
- 修理費が高額になる
- 破損部分が部品交換できない骨格部
・・・
というものです。修理して全くもとと同じように戻る場合には評価損が認められないケースもあるのです。
修理が不可能な場合は買い替え相当額
修理が不可能な場合には、全損扱い(買い替え相当)となります。
全損時の損害賠償額 = 事故直前の評価額 - 事故後のスクラップ価格
評価額は、中古市場における同等の車の売買価格が採用されます。新車の場合は購入時の価格も考慮されます。
評価額の参考情報
- オートガイド社:中古車価格月報
- 日本自動車査定協会:中古車価格ガイドブック
- 中古車情報誌
代車使用料
修理期間、買い替え期間中は被害者が車を利用することができなくなってしまいます。このときに利用する代車の使用料も、積極損害として認められます。
ただし、代車使用料が認められる要件があり
- 修理や買い替えのために車が利用できない
- 仕事で毎日使用していて、代替となる交通機関や予備車がない
などの状況である必要があります。また、代車として利用できるのは同クラスのレンタカーなどになり、高級輸入車などの代車使用料は認められない判例があります。
片付け費用
店舗や営業車の事故の場合、商品や積み荷の片づけで費用が発生する可能性があります。この費用も積極損害として認められます。
その他の積極損害
- 買い替えのための登録費
- 納車料、けん引料、保管料、運搬料
- 自動車取得税の一部
- 車検費用、車庫証明書
- 登録手続き・車両照明代行料
など
まとめ
物損事故の場合の積極損害は
- 修理費
- 評価損
- 修理でいない場合の買い替え費用
が主な損害となります。
評価損に関しては、裁判でないとなかなか認められないケースも多いようです。