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交通事故によって被害者が死亡してしまった場合の損賠賠償はどうなるのでしょうか?今回は死亡事故の損害賠償額の算定の基本を解説します。
死亡事故で請求できる損害
死亡事故で請求できる損害は
積極損害(葬儀関連費) + 消極損害(逸失利益) + 慰謝料
また、事故後、入院・治療をしたけれども死亡してしまった場合の損害として
積極損害(治療費など) + 消極損害(休業損害) + 慰謝料
は別途請求することが可能になります。
まとめると、死亡事故で請求できる損賠賠償は
- 弁護士費用
- 死亡の損害賠償 葬儀費用(積極損害)
- 死亡の損害賠償 逸失利益(消極損害)
- 死亡の損害賠償 慰謝料
- 死亡までの損害賠償 入院雑費(積極損害)
- 死亡までの損害賠償 付添費用(積極損害)
- 死亡までの損害賠償 交通費(積極損害)
- 死亡までの損害賠償 治療費費(積極損害)
- 死亡までの損害賠償 休業損害(消極損害)
- 死亡までの損害賠償 慰謝料
の合計金額ということになります。
他の事故と基本的な考え方は変わりません。大きく違うのはその内容です。
死亡事故の積極損害
- 葬儀関係費用
- 仏壇購入費用(一部認められるケースあり)
- 墓石建立費用(一部認められるケースあり)
という費用が積極損害の費用として認められます。具体的な立証は不要になります。
事故後、治療をしたけれども死亡してしまった場合の積極損賠
- 治療費
- 看護料
- 交通費
- 入院雑費
など
と交通事故と死因に因果関係がはっきりしていれば、それまでの積極損害の費用も請求することが可能です。
死亡事故の消極損害(逸失利益)
算定方法
年収 × (1 - 生活費控除率) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数
参考:ライプニッツ係数
生活費控除率
一家の支柱の場合 | 30%~40% |
---|---|
女子(主婦、独身、幼児を含む) | 30% |
男子(独身、幼児を含む) | 50% |
死亡事故の消極損害は後遺障害と同じように逸失利益が対象になります。死亡事故には休業損害がない為、被害者が生きていたら使っていただろう生活費分を年収から控除して逸失利益を算出します。
死亡事故の慰謝料
死亡事故の慰謝料は定型化されており、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士会基準で異なります。
自賠責保険基準
- 死亡者本人の慰謝料:350万円
- 遺族の慰謝料:550万円~950万円(請求権者や被扶養者の有無による)
任意保険基準
- 一家の支柱の場合:1450万円
- 高齢者かつ一家の支柱でない場合:1000万円
- 18歳未満:1200万円
- 上記以外(妻・独身男女):1300万円
弁護士会基準
- 一家の支柱の場合:2800万円
- 母親・配偶者の場合:2400万円
- その他の場合:2000~2200万円
と死亡事故の慰謝料の場合も
自賠責保険基準 < 任意保険基準 < 弁護士会基準
という関係にあります。
死亡までの損害賠償
入院・治療したけれども、治療の甲斐なくなくなってしまった場合には、上記の死亡に対する損害賠償とは別に、死亡までの入院や治療に関する損害も請求が可能です。
これは傷害事故の場合と同じで
1.積極損害として
- 入院雑費
- 付添費用
- 交通費
- 治療費
2.消極損害として
- 休業損害
3.慰謝料
が治療をせずに死亡してしまった場合の損害賠償額にプラスされるのです。
まとめ
死亡事故の損害賠償額算定は
「死亡に関する損害」と「治療をしたが死亡してしまった場合の治療時の損害」が合わせて請求できることになります。
他の事故と同じく、慰謝料などの基準は、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士会基準と3つの基準があり
自賠責保険基準 < 任意保険基準 < 弁護士会基準
という関係になっているので、損害賠償請求をする場合には、弁護士に依頼することが損害賠償額を大きくするためには重要なポイントとなっています。