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交通事故で当事者間の示談交渉が不成立に終わってしまった場合の解決方法のひとつとして「少額訴訟」というものがあります。今回は交通事故を少額訴訟によって解決する方法について解説します。

少額訴訟とは

金銭の請求額が60万円以下の少額の訴訟に関して、1回の審理で紛争を解決する民事訴訟のこと

を言います。

申し立て先は相手の住所地を管轄する簡易裁判所です。訴状を簡易裁判所が受け取ると、審理の期日が双方に告知され、審理日をむかえます。審理では、当事者双方の言い分を聞き、審理の期日前に提出していた証拠を調べ、その日のうちに判決を下します。

少額訴訟のメリット

1日で判決が出るスピード

少額訴訟では1回の審理で判決が言い渡されるのです。ということは1日で解決する訴訟方法と言えます。民事訴訟の平均審理期間は6.5か月ですから、半年が1日で解決するというのは非常に負担が少なくできる民事訴訟ということになります。

弁護士不要

弁護士を立てずに自分で訴訟をすることが可能です。弁護士費用の負担もしないで行うことが可能です。

少額訴訟のデメリット

60万円以下の損害賠償請求でないと使えない

少額訴訟というのは「少額」という名前の通りで、60万円以下の訴訟にしか利用することができません。交通事故の損害賠償請求で示談が成立せずに訴訟となる場合には、損害賠償額が60万円以上になることがほとんどですので、交通事故では、なかなか少額訴訟が利用できないという問題があります。

少額訴訟の特徴と注意点

  • 原則、1回の真意で判決
  • 証人尋問は当日法廷にいる方のみ
  • 証拠書類は審理で調べられる範囲内
  • 証人の電話会議による出席が可能
  • 金銭以外の請求はできない
  • 控訴はできない
  • 異議申し立てはできる
  • 相手の所在がわからないと少額訴訟ができない
  • 提訴後、原告は通常訴訟ができない
  • 被告が少額訴訟の手続きに応じない場合は、通常の民事裁判に移行

少額訴訟の流れ

  1. 被害者:少額訴訟の提訴・訴状の作成
  2. 裁判所:訴状の受理
  3. 裁判所:被害者、加害者に第1回期日の指定と呼び出し状の送付
  4. 被害者:呼び出し状を受取
  5. 加害者:呼び出し状を受取
  6. 加害者:答弁書の作成
  7. 裁判所:答弁書の受理
  8. 被害者:答弁書の受領
  9. 加害者:証人の準備
  10. 被害者:証人の準備
  11. 審理当日
    1. 審理
    2. 口頭弁論
    3. 和解・判決
    4. 異議申し立て(2週間以内)
  12. 不成立の場合は、通常訴訟へ

まとめ

少額訴訟は民事訴訟の中でも、自分でできて、かつ1日で判決が出るという非常に被害者に負担の少ない訴訟方法です。

しかし、60万円以下の損害賠償額でないと利用できないため、交通事故の損害賠償請求ではあまり使われる機会がないのが実情です。60万円を超える損害賠償額の場合には、弁護士を利用して通常訴訟をする必要があります。