man4128_128示談交渉では、加害者本人と交渉することはほぼありません。基本的には加害者の加入している自動車保険の保険会社の示談交渉のプロフェッショナルと交渉することになるのです。示談交渉に臨むときはどのような心構えで挑めばよいのでしょうか?

その1.準備を怠らない

示談交渉で正当な損害賠償額を勝ち取るためには、十分な損害賠償請求に関する知識が必要になります。

相手は、何百件と示談交渉を低額で成立させてきた示談交渉のプロです。

何もわからない状態で交渉に臨めば、当然相手のいいように誘導され、低額の示談交渉で成立させられてしまう可能性が高いのです。

準備って何をすればよいの?

  • 交通事故の示談交渉、損害賠償請求に関する書籍などを2冊以上読む
  • 自分で損害賠償額を計算してみる(弁護士会基準)
  • 上記が自分でできないようであれば専門家である弁護士に依頼・相談する

などです。

とくに実際に自分で弁護士会基準での損害賠償額を計算してみることが重要と言えるでしょう。「裁判をすればいくらの損害賠償が受けられるのか?」が示談交渉での基準となるからです。

損害賠償額を自分で計算してみること一つとっても、ある程度の時間と労力はかかります。しかし、示談交渉も「交渉」なのですから、妥当な損害賠償額すら知らない状態では話にならないのです。

念入りに準備をしたうえで、示談交渉に臨みましょう。

その2.自分で計算した損害賠償額よりも低い提示の場合には強い姿勢で挑む

保険会社の示談交渉の担当者というのは「できるだけ安く、早く示談交渉を成立させること」が任務です。

「できるだけ安く、早く示談交渉を成立させること」ができる示談交渉の担当者は社内での評価が高くなるのです。

一回目の交渉では、自賠責保険の損害賠償額に少しだけ上乗せされた金額が提示されることが少なくありません。

これが自身で、もしくは弁護士に依頼して、計算した妥当な損害賠償額と比較して安い場合には、強い姿勢で拒否する必要があるのです。

強い姿勢というのは、「大声を出す」とか「威圧する」ことではありません。

丁寧に「貴社の提示の価格はわたくしが計算した損害賠償額に到達していないため、納得できないのでこの条件では示談は承諾できません。」と言うだけです。

示談交渉では、保険会社の担当者は1回目で成立しなければ、徐々に金額を上げていって成立させるのが常套手段ですので、1回目で承諾するほど損をする可能性も高いのです。

その3.冷静な対応を取る

被害に遭っているわけですから、多少なりともイライラしたり、怒りの感情に支配されてしまうこともあります。

しかし、相手は加害者の代理人であって、加害者ではありません。

冷静に交渉を進められなければ、交渉自体が上手く進まない、まとまらないことになりかねないのです。

個人的な感情を代理人にぶつけても意味がありません。

冷静な対応を心がける必要があります。

その4.示談交渉の争点を理解しておく

示談交渉では下記の3つが損害賠償額を大きく変動させる要因となります。

  1. 収入の証明
  2. 過失割合の認定
  3. 後遺障害の等級認定

の3つです。

収入の証明

逸失利益や休業補償の算定には必ず、収入の証明が必要になります。事故前の収入が証明できるものがなければ、逸失利益や休業補償が認められない重要なものなのです。

過失割合の認定

過失割合で損害賠償額は大きく異なってきます。また、過失割合は定型化されているものの、事故の状況は全く同じものはひとつとしてなく、天候や時間、道路状況によっても異なるので、被害者と加害者の考え方が過失割合にも大きなウェイトを占めるのです。両社が示談交渉で提示されたお互いの過失割合に納得できない場合は、裁判で過失割合を決定することになります。

後遺障害の等級認定

後遺障害の等級認定は逸失利益と慰謝料の算定に必要なものです。等級によって損害賠償額が大きく変わってきてしまうのです。認定自体は医師の診断書を元に自賠責保険会社が行うものです。認定に不服の場合は異議申し立てを忘れずに行う必要があります。また、医師の診断書が等級認定のもとになるので、具体的な症状を伝えて納得できる診断書を書いてもらうことが重要なのです。

その5.最終的に示談交渉がまとまらなくても良い!

示談交渉で相手方の提示額に納得がいかない場合は、妥協して示談交渉を成立させる必要はありません。

「保険会社が提示する損害賠償額に示談交渉で応じなければンらない。」という法的根拠は存在しないからです。

納得しなければ、応じなければ良いだけなのです。

裁判になると被害者も、加害者も負担が増えるため、一度保険会社に示談交渉の決裂を申し出ても、保険会社が再度弁護士会基準で示談の提案をしてくれる可能性もあるのです。

そうならなかったとしても、納得できない場合は弁護士に相談の上、調停、裁判を起こせば良いだけなのです。

「最終的に示談交渉は応じなければならないものではない。」ということを覚えておきましょう。

まとめ

保険会社と示談交渉に臨むときの心構えでは

  1. 十分な準備
  2. 強い姿勢
  3. 冷静な対応
  4. 争点を把握する
  5. 最終的に示談交渉は決裂しても良いということを知る

が重要になります。

しかし、一番重要度の高いのは「十分な準備」だと言い切って良いでしょう。

多くの方は交通事故の示談交渉ははじめの経験のはずです。何度も経験するものではありません。

しかし、相手の保険会社の担当者は、示談交渉を何百回と経験しているプロフェッショナルなのです。知識がない状態、妥当な損害賠償額を把握していない状態で、示談交渉に臨んでもいい結果は望めないのです。

不安を感じる方は、こちらもプロである交通事故専門の弁護士に相談しておくべきなのです。

相手はプロの代理人、こちらはずぶの素人では結果は見えているのです。

交通事故に強い弁護士