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後遺障害の示談交渉で注意しなければならない理由とは?
注意しなければならないのは
- 示談交渉は一度成立してしまうと覆せないもの
- 後遺障害は後になってから症状が深刻化する可能性があるもの
という2点です。
そのため、加害者側の代理人である保険会社は「損害賠償額をできるだけ払いたくない。」というのが本音ですから、後遺障害のある交通事故だとしても
- 早期に示談を成立させる
- 後遺障害の症状が深刻化するまえに成立させる
- 安い損害賠償額で示談を成立させる
ことがミッションとなってしまいます。
「誠意がない」と言ってしまえばそれまでなのですが、保険会社もビジネスですので、損害賠償額は少なければ少ないほど良いということになりますし、少なくする担当者が社内で評価されるのは致し方ないことなのです。
だとすれば、被害者側が「不当に安い賠償額で示談を成立させない」心構えが必要ということなのです。
厄介なことに保険会社の示談交渉の担当者は、非常に親切で、誠実なイメージを持たせるように訓練されているということです。「いい人」の印象を受けてしまうのです。「こんないい人がこちらのためを思って言ってくれるなら。」なんて間違った判断をしてしまうことが往々にあるのです。
後遺障害の示談交渉のポイント
症状が固定するまでは示談交渉を成立させない!
後遺障害は症状が固定化するまでには最低でも半年以上はかかります。後々深刻な後遺症が出てくるとも限らないのです。示談交渉には時効がありますが、時効は3年です。焦る必要は全くないのです。
加害者側、保険会社側が早期の示談交渉を望んできても、症状が固定化するまでは延期してもらいましょう。
証拠を残しておく
後遺障害の交通事故では、逸失利益や過失割合の認定などで損害賠償額も大きく変動します。また、長期間の示談交渉になるケースも多く、当初の事故との因果関係を証明する証拠が不十分というケースもあるのです。
これでは有利な損害賠償額を勝ち取ることはできなくなってしまいます。示談交渉は後回しでも構いませんが、事故の状況を証明する書類や損害に関する領収書など早い時期に情報収集をして証拠を取り揃えておく必要があるのです。
後遺障害の等級認定は再審査を依頼できる
後遺障害の損害賠償請求では、後遺障害等級が大きな影響を及ぼします。後遺障害の等級認定は納得がいかなければ再審査が可能です。また、医師の診断書を元に等級認定が行われるので、医師に症状を正確に伝えて、納得できる診断書を書いてもらうことが重要なのです。
後遺障害の示談書作成の注意点
示談書には必ず
「本示談書の成立により、当該金額以外の損害ば発生した場合にも、お互いに一切の請求はしないものとする」
というような一文が盛り込まれています。
示談書に署名・捺印するということは「後から損害ば増えても、払いませんよ。」ということに同意したことになります。
しかし、法律上は示談の成立時に予想できなかった後遺障害の損害は新たに請求できることが認められています。
しかしながら、被害者側はそのことを知らずに示談成立の段階で「この支払いでお終い」だと思っているので、後から後遺障害の損害賠償を求められるとトラブルになってしまうことが多いのです。
これを回避するためには示談書に下記の一文を追加しておくことが重要なのです。
「将来、被害者に後遺障害が発生した場合には、それに対する損害賠償は別途協議の上、本件事故との因果関係が認められた場合には、本示談書で定めた損害賠償額とは別に加害者は被害者に損害を賠償するものとする」
これがあれば、加害者とのトラブルも起きにくいのです。
まとめ
後遺障害というのは、いつ症状が発生したり、症状が深刻化するかわかりません。
だからこそ、加害者や保険会社が早期の示談成立を要求しても、簡単にサインしてしまうのではなく、確実な時間を置いて、内容を精査したうえで、示談交渉に臨む必要があるのです。