calculation128_128物損事故の消極損害には「休業損害」というものがあります。では、物損事故に慰謝料というのはあるのでしょうか?今回は物損事故の休業損害と慰謝料の損害賠償算定について解説します。

物損事故の休業損害

交通事故によって

  • 店舗が壊されてしまって営業ができなくなった。
  • タクシーが壊されてしまって営業ができなくなった。
  • 運送業者のトラックが壊されてしまって営業ができなくなった。
    ・・・

という場合には、物損事故によって壊されたものを修理している期間中は営業ができないことになってしまいます。

この場合には、その間の収入が「休車損害」「営業損害」として請求することができるのです。

これが物損事故における休業損害です。

物損事故の休業損害の計算方法

1日当たりの平均売上 - 1日あたりの必要経費 × 休業日数

つまり、1日当たりの利益に休業日数をかけたものが休業損害で損賠賠償請求できる金額となります。

物損事故の慰謝料

物損事故には精神的な被害である「慰謝料」というのは請求できるのでしょうか?

答え:原則、できません。

なぜなら、身体の損害とモノの損害では、精神的な苦痛の度合いは違っていて、損害賠償請求によって元に戻すための修理費用などが支払われるのであれば、精神的な苦痛はほとんどないと考えられているからです。

どんなに愛着があるモノでも、基本的には金銭によって修理や代替が可能になるため、身体の損害とは異なり、苦痛は除去されるという考え方が一般的なのです。

例外もある物損事故の慰謝料

前述した通りで、基本的には物損事故で慰謝料は認められません。

しかし、過去の判例では物損事故の慰謝料が認められたケースもあります。

  • 品評会のチャンピョン犬が死亡させられた
  • 競走馬の交通事故死

などです。

どちらも、動物であり、金銭では代替不可能な精神的な苦痛を被ると考えられているのです。

前述の判例では、「品評会」「競走馬」と特別な技能のあるペットになっていますが、普通に飼っているペットにおいても、物損事故の慰謝料は認められるケースが多くなっています。

これは「動物に関しては、財産上の価額の賠償だけでは、精神的な損害は償われない。」と考えられるからです。

ペットは家族と考える方も多くいる現代社会では、当然のようにペットが事故に遭った場合の飼い主の精神的な苦痛も慰謝料として賠償されるべきと考えられるのです。

まとめ

物損事故の休業損害は

店舗や営業用車両が損害に遭って、営業ができなくなってしまった場合に「利益×休業日数分」が休業損害として損害賠償請求できます。

物損事故の慰謝料は

原則、損害賠償請求はできません。しかし、被害がペットの場合には、過去の判例において物損事故でも慰謝料が認められたケースがあります。