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後遺症(後遺障害)の等級認定までの流れと抑えておくべき認定のポイント

後遺症(後遺障害)の損害賠償請求では「後遺症(後遺障害)の等級がどれになるのか?」で損害賠償額にかなりの差が出てきてしまうものです。1等級違うだけで数百万円の差が出てきてしますため、等級の認定の流れは、抑えておくべきポイントなのです。

誰が後遺症(後遺障害)の等級を認定してくれるの?

損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所

が行います。

以前は、医師が「○○という症状があるので後遺障害等級第何級第何号に相当する。」ということを診断書に書いてくれてたりしたのですが、現在はこのような対応は医師はしてくれません。医師は後遺障害診断書を作成してくれるだけです。

不正な等級設定などが行われる可能性があるので、あくまでも等級の認定は医学的な判断ではなく、法律的な判断に基づいて、保険会社が行うことになったからです。

示談成立の前に医師の診断書を添えて、自賠責保険の後遺障害補償請求を損害保険会社に行うことになります。

損害保険会社は受け取った書類を損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所に送付し、損害調査を損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が行うのです。

自賠責損害調査事務所は

を公正かつ中立な立場で行い、第何級と誰が後遺症(後遺障害)の等級を査定します。この査定に基づいて損害保険会社が保険額の支払額を決定し、被害者に支払うのです。

後遺症(後遺障害)の等級認定までの流れ

  1. 被害者:症状固定
  2. 病院:医師による後遺障害診断書の作成
  3. 加害者または被害者の損害賠償請求:損害保険会社へ医師の診断書など所定の書類添付
  4. 損害保険会社:自賠責損害調査事務所へ損害調査依頼・書類送付
  5. 損害保険料率算出機構自賠責損害調査事務所:調査
  6. 損害保険料率算出機構自賠責損害調査事務所:損害保険会社へ調査結果の報告
  7. 損害保険会社:被害者へ支払額の決定通知
  8. 被害者:不服がある場合、損害保険会社へ異議申し立て
  9. 損害保険会社:審査
  10. 自賠責保険審査会:紛争処理の申請
  11. 自賠責保険・共済紛争処理機構
  12. 解決しない場合、訴訟

後遺症(後遺障害)の等級認定のポイント

後遺障害の損害賠償は症状固定された日からはじまる

後遺障害の損害賠償というのは、治療を継続してもこれ以上の回復や改善が見込目ない状況「症状固定」と診断された日から発生することになります。

後遺障害診断書を担当医に作成してもらう

後遺障害診断書は担当医が作成するものになります。

後遺障害の診断料、診断書作成料は保険会社に請求できる

後遺障害の診断料、診断書作成料は保険会社に請求できます。ただし、認定に不服がある場合の再度の後遺障害の診断料、診断書作成料は被害者の自己負担となります。

後遺障害の認定には2ヶ月~3か月かかる

後遺障害の認定は前述した通りで、自賠責損害調査事務所が損害の妥当性を調査する必要が出てきます。そのため、すぐに結果は出ずに結果が出るまでに2ヶ月~3か月かかることになります。

任意保険における障害等級は自賠責保険での等級に従う場合が多い

任意保険における障害等級は自賠責保険での等級に従うケースが多いようです。

等級の認定に不服があれば異議申し立てが可能

後遺障害の認定に不服がある場合、あきらかにおかしいと疑問を持つ場合には、損害保険会社に異議申し立てを行うことが可能です。

異議の根拠となるレントゲン写真などの資料を添えて「後遺障害認定等級に関する異議申立書」を損害保険会社に送ることになります。

この異議申し立てによって、自賠責保険(共済)後遺障害審査会の審査を受けることが可能になります。専門医が参加する後遺障害審査会で、客観的に等級の認定に間違えがないかの審査が行われるのです。

それでも納得ができなければ自賠責保険・共済紛争処理機構に紛争処理の申請を行うことも可能です。

最終的には弁護士に相談し、訴訟ということになります。

医師には自分が納得できる具体的な症状を書いてもらう

基本的な前提となるのは、保険会社の立場というのは「損害賠償額を減らしたい。」ということなのです。自賠責損害調査事務所が損害の妥当性を調査するのですが、その前提となるのは医師の診断書です。

医師の診断書に不足がある場合は、後遺障害の等級が低いものとなってしまう可能性があるため、医師の診断書に納得がいかない場合には、その時点で医師に具体的な症状を伝え、書き直してもらう必要性があるのです。

まとめ

後遺症(後遺障害)の等級認定を行うのは、保険会社が依頼する自賠責損害調査事務所です。

後遺症(後遺障害)の等級認定に不服がある場合は、異議申し立ても可能になっています。

等級認定の行き違いがないように

が重要になります。

参考:後遺障害別等級表・労働能力喪失率