目次
積極損害とは
交通事故によって被害者が支払わなければならなくなった費用のこと
です。
人身事故(傷害・後遺障害・死亡事故)の積極損害
治療費・入院費
実費全額が認められます。
- 診察費
- 検査料
- 入院料
- 投薬料
- 処置料
- 柔道整復費用
- 鍼灸、マッサージ費用
- 温泉療養費
など
※針灸、マッサージ、治療器具、薬品代、温泉治療費などは医師の指示がある場合に認められます。
※症状固定後の治療費、将来の治療費は症状の内容や程度により認められます。
※特別室料や差額ベッド料は搬送の病室に空きがなかった場合などの特別な事情があるケース以外は認められません。
入通院交通費
実費全額が認められます。
- 入院交通費
- 通院交通費
- 家族(付添者)の通院交通費
- 看護者の通院交通費
※タクシー代は交通機関の便やケガの程度による緊急性によって認められます。
※電車やバスを利用した場合は通院日と運賃をメモしておきましょう。
付添看護費(通院付添看護費)
職業付添看護人の場合、全額が認められます。
※近親者の付添人は入院1日5,500円~7,000円程度、通院3,000円~4,000円程度が認められます。
入院雑費
実費全額が認められます。
- 寝具
- パジャマ
- 洗面具
- チリ紙
- 文房具
- 食器
- 飲料
- 食費
- 電話代
- 通信費
- 新聞代
- 雑誌代
- テレビ賃借料
など
1日1,100円~1,500円程度が認められます。
その他の費用
社会通念上妥当なが金額であれば実費相当額が認められます。
例
- 診断書などの発行費用
- 家の出入り口、風呂場、トイレなどの設置費、改造費
- ベッドイスなどの調度品購入費
- 自動車の改造費
- 子どもの学習費子供の保育費
- 学費
※医師への謝礼などは社会的に相当な範囲で認められます。
義足・補聴器・車いす・眼鏡など
購入費、処置料などの相当額が認められます。
- 義足
- 歯科補てつ
- 義眼
- メガネ
- コンタクトレンズ
- 補聴器
- 松葉づえ
- 車いす
※将来の買い替え費用は中間利息を考慮します。
※メガネの費用は5万円が限度とされています。
※その他、後遺障害により生活に必要となった自動車や家屋の改修費用も弁護士会基準では請求できるとされています。
弁護士費用
1割程度が認められます。
物損事故の積極損害
車両修理費用
- 修理が可能な場合 → 修理費が実費として認められます。
- 全損、修理不可能な場合 → 事故直前の中古市場価格から事故後のスクラップ価格を除いた金額が認められます。
※買い替える場合には税金などの購入経費も含めて認められます。
車両評価損(格落ち損)
事故車を中古車として売却する場合、下取りしてもらう場合には、無事故の同じ車と比較して、買取価格が安くなってしまいます。これを「評価損(格落ち損)」と言います。保険会社が評価損を積極損害として認めるケースは少ないものの、過去の裁判の判例では、事故直前の評価額の10%、修理額の20%~30%を認めたケースがあります。
代車使用料
修理期間や買い替え期間のレンタカー費用などが全額認められます。
車両以外の損害
- 建物修理費
- 物品の修理・交換費用
- 後片付け費用
- 積み荷
- 農作物
などの損害が認められます。
積極損害の損害賠償に対する注意点
支払いの証拠である請求書や領収書が必要
会社の経費と同じように損害賠償を請求するにしても、実際に費用がかかったことを証明する書類として「請求書」「領収書」が必要になります。大切に保管しておきましょう。
過剰治療は損害賠償が認めらえないケースもある
必要以上の自由診療が行われたと判断された場合には、過剰治療として判断され損害賠償請求が認められないこともあります。
健康保険を使う
健康保険は交通事故であっても、当然利用できるものです。「保険で支払われるから関係ないや。」と判断して、病院の言われるがままに自由診療にしてしまったら、「過失割合が思った以上に大きく保険金が十分でなかった」というケースで大きく損をしてしまうことになります。病院が自由診療を進めてきたとしても、健康保険を利用するようにしましょう。交通事故で健康保険を使う場合には健康保険組合や社会保険事務局に「第三者行為による傷病届」を提出しなければなりません。
まとめ
基本的には積極損害は全額、損害賠償できる費用として認められます。
ただし、治療費や入院費は問題ありませんが「治療に関係ないのに個室を希望した場合の室料」や「緊急性がないタクシー代」など、認められないケースもあります。
あくまでも、ケガの治療で必要不可欠な費用に関して、積極損害として全額が認められるのです。