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交通事故の示談交渉はいつ交渉するものなのでしょうか?示談交渉をはじめるタイミングについて解説します。
示談交渉は損害が確定してから行う!
まず、重要なポイントは「示談交渉は損害が確定してから行う」ということです。
なぜなら、示談交渉は一度成立してしまうと、後から損害が拡大したとしても示談交渉の内容は変更できないからです。
損害が1000万円分だと思って示談が成立しても、後から後遺症などの新しい損害が出てきて実際は3000万円分の損害になったとしても、示談が成立してしまったら、後から損害賠償額の増額はできないのです。このケースでは泣き寝入りするしかありません。
どんなに加害者側が「早急に示談交渉がしたい。」と依頼してきても、焦って示談交渉をすすめてはいけないのです。あくまでも「示談交渉は損害が確定してから行う」のが鉄則です。
加害者や保険会社は早く示談交渉を進めようとしてくる!
一方で、加害者や保険会社はできるだけ早く示談交渉をまとめようとして被害者にアプローチしてきます。
加害者や保険会社にとってみれば
- 長引けば長引くほど、損害が拡大するリスクがある
- 長引けば長引くほど、対応に関する人件費コストがかかる
- 刑事事件なら早期の示談成立は裁判官の印象も良い
・・・
という理由から、あの手のこの手で示談交渉を早期成立させようと動いてきます。
被害者の方は、この相手のペースに巻き込まれてはいけないのです。あくまでも「示談交渉は損害が確定してから行う」のが鉄則です。
示談交渉をはじめる目安のタイミング
傷害事故の場合
- 治療(入院・通院)
- 完治・治癒
- 損害額の確定
- 示談交渉開始
医師に完治、治癒と診断され、治療費や慰謝料などが確定してから示談交渉を開始します。
後遺障害事故の場合
- 治療(入院・通院)
- 症状固定の診断
- 後遺障害等級の確定
- 損害額の確定
- 示談交渉開始
症状が固定されたと診断されるまでの間は示談交渉を開始してはいけません。症状固定と診断され、後遺障害等級が確定された段階でやっと損害額の確定、示談交渉とすすむことができるのです。
後遺障害等級の段階で不服がある場合には、再申請の申し立てが可能です。後遺障害等級が一つ違うだけでも、数百万円の損害賠償額の違いが出てきてしまいます。納得したうえで、後遺障害等級を確定させ、その後に示談交渉を開始しなければならないのです。
死亡事故の場合
- 葬儀
- 初七日
- 交渉の代表者の決定
- 損害額の確定
- 四十九日
- 示談交渉開始
死亡事故の場合は、一般的に四十九日が過ぎてから示談交渉が開始されます。遺族が損害賠償について冷静に判断できるようになるまでにそのぐらいの期間はおく必要があるということです。死亡事故の場合は損害が後から増えるわけではありませんが、冷静な判断ができるまでの期間は十分に見ておく必要があるのです。
時効もあるので、延ばしすぎにも注意が必要!
のんびりやればいいんだ。と思って、示談交渉を後回しにしすぎると、今度は「時効」という問題が出てきます。
損賠賠償の時効は原則「3年間」です。
3年経過してしまったら、損害賠償請求自体ができなくなってしまうのです。リミットもあることを覚えておく必要があります。
交通事故の損害賠償請求にも時効がある。損害賠償請求権の消滅に注意!
加害者が示談交渉に応じない場合には、内容証明郵便で損害賠償額とそれに対する返答依頼を送りましょう。
訴訟を起こして裁判をする際の有利な証拠になります。
まとめ
交通事故の示談交渉は
- 損害額が確定してから行う。
必要があります。
同時に
- 加害者の早期の示談交渉依頼は断ること
- 時効の期間が過ぎないように注意すること
も忘れてはいけません。