calculation128_128交通事故では後遺症のない傷害事故による積極損害(被害者が支払わなければならなくなった費用)は当然認められますが、これとは別に後遺症(後遺障害)についての積極損害も認められ、損害賠償請求ができるのです。

後遺症(後遺障害)の積極損害
とは

積極損害の定義は傷害事故と同じです。

交通事故によって被害者が支払わなければならなくなった費用のこと

を意味します。

後遺症(後遺障害)の積極損害

将来の治療費・治療関係費

基本的には将来かかる予定の治療費・治療関係費はまだ積極損害として認められません。

ただし、医師により必要性が認められている将来実施予定の手術や治療に必要な費用は積極損害として認められるのです。

付添看護費

将来にわたって付添が必要と認められた場合に積極損害として認められます。

  • プロに依頼するとき → 実費全額
  • 近親者が付添うとき → 1日8,000円~9,000円(弁護士会基準)

※後遺障害の場合、将来の付添が必要というのは、原則として平均寿命まで認められます。後遺障害の場合はこれ以上回復をする見込みがないということなので、付添が必要とされれば、それは平均寿命まで続くと考えられるからです。

この場合中間利息を控除した金額が損害賠償額として認められる形になります。

家屋など改造費

家の出入り口、風呂場、トイレ、自動車などを改造しなければ日常生活に支障が出ると認められた場合に積極損害として認められます。足が不自由になってしまった場合など、家をリフォームしたバリアフリー化しなければならないなどのケースが考えられます。

  • 自賠責限度額 : 120万円

義肢等の装具費用

後遺傷害の場合は、義足、車いす、盲導犬、補聴器、入歯、義眼などの器具が必要な場合、購入したり、レンタルを利用する必要があります。永久に利用できるものではないので、買い替えなどの必要もあります。将来の交換費用、買い替え費用も積極損害として認められます。

控除すべき中間利息とは?

装具の買い替え費用や将来の付添看護費、逸失利益などの損害賠償算定の場合には、中間利息を控除する必要があります。

中間利息とは

将来受け取る予定のお金をすぐに損害賠償として受け取ることができるので、本来、支払いが発生されるときまで資産運用した場合に得られるだろう利回りを控除(減額)する必要があるのです。これが中間利息控除です。

中間利息の控除には下記の計算式が採用されます。

新ホフマン方式(単利) = 利息が当初の元金のみにかかる計算式
ライプニッツ式(複利) = 元金に利息が加算され、これを新しい元金として利息が加算される方式

利息額は

新ホフマン方式(単利) < ライプニッツ式(複利)

となります。

新ホフマン方式(単利)はこちら
ライプニッツ式(複利)はこちら

平成17年の最高裁の判例では年率5.0%が妥当とされていました、民法改正案では年率3.0%となっています。時代に応じて資金の運用で得られる利益率というのは変動するので、その時代に応じた利率が採用されます。

実際に平成27年の現代では、定期預金の金利でさえ0.10%程度なので、資金を年率5.0%で運用するのは至難の業です。これを控除しなければならないというのは、被害者に大きなデメリットとなってしまうのです。

中間利息控除の金利設定に納得がいかない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。示談交渉でも、裁判でも、基本的にはその時代の資産運用で得られる妥当な金利が設定されるべきものなのです。

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